第20回 【速報】Oracle Linux Virtualization Managerが待望のOL9対応!最新アップデートのポイントと導入の注意点

1. はじめに

2023年末から2024年にかけて発表された、VMwareのライセンス体系変更に端を発する大幅なコスト増の懸念は、既存のVMwareユーザーに大きなインパクトを与えました。そこで注目を浴びてきたのが、VMware以外の選択肢です。本コラムでも以前そのことを取り上げ、Oracle Linux Virtualization Managerも有力な候補の一つとして紹介しています。

ただし、2026年4月時点で最新のOracle Linux Virtualization Manager 4.5に対応するKVMホストはOracle Linux 8.8以降で、Oracle Linux 9には対応していませんでした。そのためお客様からOracle Linux 9やOracle Linux 10の対応予定に関する問い合わせが多数ありました。

そうしたところ、2026年2月にOracle Virtualization BlogでOracle Linux 9への対応が発表されました。
Oracle Virtualization adds support for Oracle Linux 9 compute

そこで今回はOracle Linux Virtualization ManagerのOracle Linux 9対応について解説します。

2. ついに実現したOracle Linux 9への対応

前記Oracle Virtualization Blogやリリースノートから主要な変更点を紹介します。

KVMホストとしてOracle Linux 9.6以降の対応
KVMホストとして、従来のOracle Linux 8.8以降に加え、Oracle Linux 9.6以降にも対応しました。表01からもわかるように、より長いサポート期間のため安心した運用計画が立てられます。

表01:Oracle Linuxのサポート期間

VersionGAPremier Support EndExtended Support End
Oracle Linux 82019/72029/72032/7
Oracle Linux 92022/62032/62035/6
Oracle Linux 102025/62035/62038/6

UEK8サポート
Oracle Linux 9.6のデフォルトカーネルはUEK8です。Linuxカーネル6.12.0をベースとしており、最新のハードウェアをサポートしたドライバが含まれています。また、5.15.0ベースのUEK7のアップストリームカーネルであり、より高いパフォーマンスとスケーラビリティが期待できます。

なお、Oracle LinuxのバージョンごとのUEK対応は「Oracle Linux and Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) Releases」をご覧ください。

新しい認定サーバーの追加
Oracle Linux 9に対応したため、より新しいサーバーに対応しています。また、第5世代Intel Xeon(Emerald Rapids)にも対応しています。詳しくはHardware Certification Listをご覧ください。

新しいゲストOSのサポート
Oracle Linux 10やRed Hat Enterprise Linux 10、Rocky Linux 10、AlmaLinux 10、Ubuntu 25.04、Windows Server 2025など新しいゲストOSに対応しました。

3. マニュアル確認時の「落とし穴」に注意

ドキュメントの現状としては、日本語ドキュメントへの反映にはタイムラグがあり、現時点では最新ではありません。日本語版と英語版で大きな差はないのですが、Oracle Linux 9対応関連では違いがあるため、必ず 英語版公式ドキュメント を一次ソースとして参照することを推奨します。

例えば「アーキテクチャおよびプランニング・ガイド」で「KVMホストの要件」を比較すると以下の通りです。日本語ドキュメントにはOracle Linux 9の記載がありません。

図01:英語ドキュメント

図02:日本語ドキュメント

4. インストールとアップデート

Oracle Linux Virtualization Manager 4.5のOracle Linux 9対応はマイナーアップデートです。

リリースノートで次のように書かれている通り、Oracle Linux 9のKVMホストに対応しているのはovirt-engine-4.5.5-1.65以降で、従来の4.5の同一バージョンです。

Customers can add new Oracle Linux 9 KVM compute hosts while continuing to run Oracle Linux 8 KVM compute hosts. The feature is supported with ovirt-engine-4.5.5-1.65 and greater. Oracle Linux 9 KVM hosts can only be added to a cluster with a compatibility version of 4.7.

図03はアップグレードとアップデートの手順を比較したものですが、図だけでは違いが分かりにくい点があります。ドキュメントでは「アップグレード」と「アップデート」を明確に使い分けていることに気をつけてください。「アップグレード」は 4.4 → 4.5 のようなメジャー変更を指し、「アップデート」は 4.5 内での小規模更新を指します。そのため「アップグレード」のほうが前提条件や作業工程が多く、注意点も増えます。管理者ガイドに詳細が記載されているので十分に確認してください。

図03:Oracle Linux Virtualization Managerのアップグレード/アップデート方法

5. まとめ

Oracle Linux Virtualization Managerは着実に進化を続けています。今回のOracle Linux 9対応により、OLVMは最新のハードウェア性能を引き出しつつ、2030年代まで続く長期的なサポート期間を手に入れました。

特に「最新のゲストOS(Oracle Linux 10やWindows Server 2025)への対応」と「最新CPUのサポート」が揃ったことで、VMwareからの移行先としてだけでなく、新規の仮想化基盤としても非常に有力な選択肢になったと言えます。

導入や検討の際は、ぜひ本コラムで触れた「英語版ドキュメントによる最新仕様の確認」と「アップデート手順の精査」を念頭に、安定した仮想化環境の構築を目指してください。

導入を検討する際は、以下のことに気を付けてください。

  • 英語版ドキュメントで最新要件や手順を確認する
  • KVMホストOL8/OL9 混在環境で段階移行を計画する

なお、Oracle Linux Virtualization Managerのシステム構成やインストールについては以前以下の記事で書いています。Oracle Linux Virtualization Manager 4.4ベースで書かれているので少し内容は古いですが理解には役立ちます。

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