第22回 Oracle Virtualization 最新アップデート総まとめ(2026年版)

VMwareのライセンス体系変更をきっかけに、仮想化基盤の見直しを進める企業が増えています。その有力な移行先として注目されているのが、Oracle Linux KVMとOracle Linux Virtualization Managerで構成される「Oracle Virtualization」です。

2026年に入り、Oracle VirtualizationではOracle Linux 9への対応強化やVMware移行支援機能、認証機能の刷新など、実運用に直結するアップデートが相次いで公開されました。

本記事では、Oracle Virtualization Blogやリリースノートの内容をもとに、特に押さえておきたい最新情報を解説します。また、過去に紹介した「第20回」のOL9対応速報や、「第13回」「第14回」の脱VMware特集と合わせて読んでいただくと、Oracle Virtualizationの最新動向がより立体的に理解できるはずです。

1. 総称としてのOracle Virtualization

Oracle Linuxで構成する仮想サーバー環境のことを、「Oracle Linux Virtualization Manager」や「Oracle Linux KVM」など複数の名称が使われており、初めて触れる方には違いが分かりにくい場合がありました。

近年は、それらを総称して「Oracle Virtualization」と呼ぶケースが増えています。その関係をまとめたのが表01と図01です。

表01: Oracle VirtualizationとVMware vSphereとの名称比較

OracleVMware
全体の総称Oracle VirtualizationVMware vSphere
管理サーバーOracle Virtualization ManagervCenter
ハイパーバイザーOracle Linux KVMESXi

図01: Oracle Virtualizationの全体図

2. Oracle Linux 9ホスト対応、最新ゲストOS対応

以前のコラム「第20回 【速報】Oracle Linux Virtualization Managerが待望のOL9対応!最新アップデートのポイントと導入の注意点」で詳しく紹介していますが、Oracle Linux Virtualization Manager 4.5.5では数多くの重要なアップデートが行われています。詳細は第20回で解説済みのため、ここでは要点のみ振り返ります。

  • Oracle Linux 8に加え、Oracle Linux 9ホストへの対応
  • Oracle Linux 10やRed Hat Enterprise Linux 10、Windows Server 2025など新しいゲストOSの対応
  • Windows Server Failover Clustering対応
  • トラブルシュート強化のPerformance Co-Pilotによるパフォーマンス監視対応
  • 官公庁や金融機関などの規制業界向けFIPSコンプライアンスサポート

3. Oracle Cloud MigrationsによるVMwareからOracle Virtualizationへの移行サポート

OCIが提供する移行サービスOracle Cloud Migrationsが、VMwareからOracle Virtualizationへの移行に対応しました。もともとクラウド向けの移行サービスですが、今回オンプレミスtoオンプレミスの移行にもスコープを拡大した点がポイントです。

VMwareからOracle Virtualizationの移行では、従来サードパーティー製バックアップソフトもしくはvirt-v2vが移行ツールの有力な選択肢でしたが、今回のアップデートによりOracle Cloud Migrationsも有力な選択肢に加わりました。

図02: Oracle Cloud Migrationsによる移行

  • 左:VMware環境(vCenter、ESXiホスト、VM)
  • 中央:Oracle Cloud Migrationsが両環境を検出し、移行を制御。VMディスクはクラウドを経由せず、オンプレミス同士で直接レプリケーションされる
  • 右:Oracle Virtualization環境(ストレージドメイン、クラスタ、vNICプロファイル、テンプレート)

Oracle Cloud MigrationsはOCIユーザーが無料で利用できるサービスで、OCIコンソールのGUI操作以外にCLIやREST APIなども使用できます。下記ページも併せてご覧ください。

4. Keycloak統合によるモダン認証対応

従来はOracle Virtualization Managerの認証モジュール(AAA認証)を使用していました。今回Keycloakがデフォルトの認証モジュールになったことで、外部のLDAPやActive Directoryと連携したシングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)が可能になりました。それによってID管理を一元化できるだけでなく、セキュリティを強化できます。

なお、KeycloakはシングルサインオンやIDフェデレーションなどを提供するオープンソースのアクセス管理(IAM:Identity and Access Management)ソリューションです。

5. GlusterFSサポート終了と新たなSoftware-Defined Storageの選択肢

従来、Software-Defined StorageとしてGlusterFSをサポートしていましたが、Oracle Linux Virtualization Manager 4.5ではサポートされなくなりました。そのためVMwareのvSANに相当するようなSoftware-Defined Storageを構成するには、ほかの手段が必要です。

現時点でOracle Linux Virtualization Managerに対応したSoftware-Defined StorageとしてOracle Linux ISVカタログで確認できるのはStarWindだけです(図03)。

図03: Oracle Linux Virtualization Manager対応Storage Managementソフトウェア

ただし、下記のOracle Virtualization Blogの記事を読む限りは、StorPoolやLINBIT SDS(DRBD)にも対応しているようです。なお、日本で取り扱いがあるのはStarWindLINBITです。詳細は取扱代理店に確認お願いします。

6. Oracle Virtualization向けベストプラクティスドキュメントの提供

Oracle Virtualization Blog「Oracle Virtualization Best Practices for Installation and Deployment」で紹介されているように、ベストプラクティスに関する19ページの冊子(PDF)が公開されています。公式ドキュメントより簡潔にまとまっており、一読することをおすすめします。

7. おわりに

本稿では2026年におけるOracle Virtualizationの主要アップデートを振り返りました。

特に「Oracle Linux 9への対応」や「Oracle Cloud Migrationsによる移行サポートの拡充」「Keycloak統合による認証の近代化」は、多くの企業で導入判断に影響するポイントになるでしょう。また、ベストプラクティス資料の公開により、導入のハードルも着実に下がってきています。

仮想化環境の「次の選択肢」として、Oracle Virtualizationはますます現実的かつ強力なソリューションへと進化し、今後もVMware代替基盤として注目されることが予想されます。最新のリリース情報をウォッチし、段階的な移行計画を立てることが、安全なインフラ移行の鍵となります。最新のリリースノートOracle Virtualization Blogも併せて確認しながら、自社環境への適用を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社では、Oracle Virtualizationの技術検証や移行支援も行っておりますので、お悩みの際はお気軽にご相談ください。

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