第21回 Oracle AI Database 26ai for Linuxのインストール

第19回ではOracle AI Database 26aiの新機能について紹介しました。今回は実際にOracle LinuxへOracle AI Database 26ai for Linux x86‑64をインストールし、データベースを作成する手順を解説します。

1. はじめに

オンプレミスで使用できるOracle AI Database 26ai for Linuxには次の種類があります。今回対象とするのは1の「Oracle AI Database 26ai for Linux x86-64」です。

  1. Oracle AI Database 26ai for Linux x86-64
  2. Oracle AI Database 26ai Free
  3. Oracle AI Database 26ai Free コンテナイメージ

また、1にはZIP版とRPM版があります。主な違いは以下の通りです。今回はZIP版を利用します。RPM版のインストールは簡単なので公式ドキュメントや各種Webサイトをご覧ください。

表01: ZIP版とRPM版の違い

ZIP版(従来の方法)RPM版
インストール方法ZIPファイルを解凍して、Oracle Universal InstallerもしくはCUIのサイレントモードでインストールRPM形式で提供されるパッケージをyumやdnfコマンドでインストール
選択可能なエディションSE2とEE(※2)EE
パッチ適用の可否適用可能RPMを利用したパッチ適用は不可。Opatchで適用
アップグレード可能dnf updaterpm -Uvhによるアップグレードは不可。通常のDBアップグレードプロセス
導入容易性RPM版と比べると手間が掛かる簡単
ユースケース・既存システムがあるときやインストールディレクトリを調整したいとき
・SE2やGIを使用したいとき
・Fleet Patching and Provisioningを使用したいとき
構築工数を削減したい場合や開発環境
  • ※1. ZIP版はSE2/EEを利用できますが、26aiの現在公開されているメディアではSE2の選択画面が表示されません。詳細は有償サポート窓口までお問い合わせください。
  • ※2. ZIP版とRPM版の詳細はRPMベースのインストールの制限事項とガイドラインをご覧ください。

2. システム要件の確認

ハードウェア要件やソフトウェア要件の詳細は下記マニュアルの「1. Oracle AI Databaseのインストールのチェックリスト」をご覧ください。ここでは補足の注意事項を記載します。

2.1. ハードウェア要件

項目要件
CPUアーキテクチャx86-64
最小メモリ2GB(4GB以上を推奨)
最小ディスク空き領域10GB
スワップ領域搭載メモリが2GBまでのときはメモリの1.5倍のサイズ
搭載メモリが2GBから16GBまでのときはメモリと同じサイズ
搭載メモリが16GB以上のときは16GB

2.2. 対応Linuxバージョン

Oracle Linuxであれば次のバージョンに対応しています(2026年6月現在)。Linuxバージョンごとにカーネルバージョンなどの制限があるので、詳しくは公式ドキュメントを確認してください。

  • Oracle Linux 8
  • Oracle Linux 9
  • Oracle Linux 10

また、日本語ドキュメントにOracle Linux 10はリストされていませんが、英語ドキュメントにはリストされています。ただし、Oracle Linux 10をインストールするには、有償サポートのMy Oracle Supportからダウンロードできるパッチ39268330が必要です。

そのため今回はOracle Linux 9.7を使用します。

2.3. リリースノートは重要

Oracle製品のインストールにおいて、リリースノートは極めて重要です。インストールの可否や重要なエラー情報などが記載されていることがあるので必ず確認してください。例えばOracle Linux 10対応パッチの件もリリースノートに記載されています。

次の画像はリリースノートの日本語版と英語版のトップページです。日本語版は「G45595-02(原本部品番号:G43672-03)」と書かれています。つまり英語版のG43672-03をベースに翻訳したもので、ハイフン以下は同一ドキュメントのバージョン番号を表します。

つまり現時点(2026年6月)の最新英語版はG43672-07であり、日本語版とはバージョン番号がだいぶ違うことが分かります。

3. Linux OSの環境設定

事前準備として、Oracle DatabaseがインストールできるようにLinux環境を設定します。それぞれの手順を説明します。

3.1. 基本的なLinux OS設定

  1. SELinuxを無効化もしくはパーミッシブモードに変更します。ここではdisabledで無効にしていますが、パーミッシブモードの場合はpermissiveに変更してください。
# setenforce 0
# sed -i -e 's/^SELINUX=enforcing/SELINUX=disabled/' /etc/selinux/config
  1. firewalldを無効にするか、有効(OSのデフォルト)のときはリスナーポート1521を許可します。

firewalldを無効にする

# systemctl disable --now firewalld

firewalldを有効のままで1521ポートを開放する

# firewall-cmd --add-port=1521/tcp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --reload
  1. ポートを開放したときは設定を確認します。
# firewall-cmd --list-all
  1. ホスト名でpingして応答があるか確認します。応答がないときはホスト名の設定やネットワークの設定を確認してください。
# hostname
<ホスト名>
# ping <ホスト名>

3.2. Oracle Preinstallation RPMによる設定

Oracle Preinstallation RPMを使用すると、複数の設定作業をまとめて実行できます。RHELなどを使用するときはOracle Public YumリポジトリからOracle Preinstallation RPMをダウンロードして使用してください。

Oracle Public Yumリポジトリ: https://yum.oracle.com/repo/OracleLinux/OL9/appstream/x86_64/

  1. Oracle Preinstallation RPMをインストールして、必要なRPMパッケージのインストールやoracleユーザーを作成します。
# dnf install oracle-ai-database-preinstall-26ai

Oracle Preinstallation RPMをインストールすると、内部的に次の設定を実施します。

  • Oracle Databaseの前提条件となるRPMパッケージのインストール
  • oracleユーザーやoinstallグループなどの作成
  • カーネルパラメータ/etc/sysctl.confの変更
  • ソフトリミット・ハードリミットの変更/etc/security/limits.d/oracle*
  • Huge Pagesをmadviseに設定
  • /etc/sysconfig/networkNOZEROCONF=yesの追加
  1. なお、事前にoracleユーザーが存在するときは作成されません。次のようにoracleユーザーがoinstallグループなどに属していれば問題ありません。
# sudo su - oracle
$ id
uid=1000(oracle) gid=54321(oinstall) groups=54321(oinstall),10(wheel),54322(dba),54323(oper),54324(backupdba),54325(dgdba),54326(kmdba),54330(racdba)
  1. oracleユーザーがoinstallグループに属していないときは、次のコマンドで変更します。
# usermod -g oinstall -aG dba,oper,backupdba,dgdba,kmdba,racdba oracle
  1. カーネルパラメーター等を変更しているのでLinuxを再起動します。

3.3. 必要ディレクトリの作成

下記のディレクトリをrootユーザーもしくはsudoで作成します。

mkdir -p /u01/app/oracle
mkdir -p /u01/app/oraInventory
chown -R oracle:oinstall /u01/app/oracle
chown -R oracle:oinstall /u01/app/oraInventory
chmod -R 775 /u01/app

次にOracleのディレクトリ構成のガイドラインOFA(Optimal Flexible Architecture)に従って、以下のディレクトリを作成します。23.26.0なのは、26aiは内部的には23c系統のバージョンをベースにしているためです。

また、公式ドキュメント記載の23.0.0や、26aiに合わせて26.0.0にしてもよいでしょう。バージョン番号の詳細は第19回をご覧ください。

mkdir -p /u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1
chown -R oracle:oinstall /u01/app/oracle

4. ソフトウェアのダウンロードと展開

インストールする26aiをダウンロードして、適切なフォルダに配置します。

4.1. ソフトウェアのダウンロード

インストールメディアはOracle AI Database Software DownloadsもしくはOracle Software Delivery Cloudからダウンロードします。入手場所によってファイル名は異なります。本書ではOracle AI Database Software Downloadsからダウンロードしたファイルを使用します。

  • Oracle AI Database Software Downloads
    • Oracle AI Database 26ai for Linux x86-64 ZIP
    • 実ファイルはLINUX.X64_2326100_db_home.zip
  • Oracle Software Delivery Cloud
    • Oracle AI Database 23.26.1.0.0
    • 実ファイルはV1054592-01.zip

4.2. ファイルの展開

oracleユーザーでzipファイルを展開します。この例では/tmpに配置したファイルをOracleホームに展開しています。

$ cd /u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1
$ unzip -q /tmp/LINUX.X64_2326100_db_home.zip

5. Oracle Databaseのインストール

準備ができたのでインストールを開始します。最初に26aiのファイルをインストールし、次にデータベースを作成します。

今回はGUIのOracle Universal Installerを利用しますが、本番環境や大規模環境ではCUIのサイレントモードやOracle Fleet Patching and Provisioningなどもよく使用されます。これらについては公式ドキュメントをご覧ください。

5.1. Oracle AI Database 26aiのインストール

1.インストーラーを起動します。

$ cd /u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1
$ ./runInstaller

文字化けするときは次のように実行してください
$ LANG=C ./runInstaller

2.Oracle Universal Installer(OUI)が表示されるので「ソフトウェアのみの設定」を選択して、「次へ」をクリックします。

3.デフォルトのまま「次へ」をクリックします。

4.デフォルトのまま「次へ」をクリックします。

5.デフォルトのまま「次へ」をクリックします。

6.画面のように設定して、「次へ」をクリックします。

7.「構成スクリプトを自動的に実行」のチェックが外れていることを確認して、「次へ」をクリックします。

8.前提条件のチェックが始まります。

9.チェックが正常に終了すると、この画面が表示されます。「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

10.再びメーターが進み、インストールが始まります。

11.途中でこの画面が表示されます。

12.画面指示にあるように、別ターミナルを起動してrootユーザーで2つのスクリプトを実行します。終了したら「OK」をクリックします。画面は/u01/app/oracle/product/23.26.0/になっていますが、ファイルを展開したディレクトリに合わせて変更してください。

スクリプト1つめ

# /u01/app/oraInventory/orainstRoot.sh
権限を変更中 /u01/app/oraInventory.
グループの読取り/書込み権限を追加中。
全ユーザーの読取り/書込み/実行権限を削除中。

グループ名の変更 /u01/app/oraInventory 宛先 oinstall.
スクリプトの実行が完了しました。


スクリプト2つめ

# /u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1/root.sh
Performing root user operation.

The following environment variables are set as:
    ORACLE_OWNER= oracle
    ORACLE_HOME=  /u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1

Enter the full pathname of the local bin directory: [/usr/local/bin]:
   Copying dbhome to /usr/local/bin ...
   Copying oraenv to /usr/local/bin ...
   Copying coraenv to /usr/local/bin ...


Creating /etc/oratab file...
Entries will be added to the /etc/oratab file as needed by
Database Configuration Assistant when a database is created
Finished running generic part of root script.
Now product-specific root actions will be performed.

13.以上でOracle Databaseのインストールは終了です。次にデータベースを作成します。

5.2. データベースの作成

DBCA(Database Configuration Assistant)を利用してデータベースを作成します。

注意:Oracleホームのデフォルトが「読取り/書込みモード」に変更
21cではOracleホームのデフォルトが「読取り専用(Read-Only)モード」になっていましたが、26aiでは従来の「読取り/書込み(Read-Write)モード」に戻りました。
これにより、19c以前と同様の運用が可能になります。特別な要件(読取り専用として構築したい等)がない限り、インストール時や構築時、追加の設定を意識する必要はありません。

1.oracleユーザーの.bash_profileに以下の環境変数を追加します。ORACLE_SIDは目的に応じて変更してください。

export ORACLE_BASE=/u01/app/oracle
export ORACLE_HOME=/u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1
export OH=$ORACLE_HOME
export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH
export ORACLE_SID=orcl

2.設定した環境変数を有効化します。

$ . ~/.bash_profile

3.dbca(Database Configuration Assistant)を起動します。

$ dbca &

4.デフォルトのまま「次へ」をクリックします。

5.パスワードやプラガブル・データベース名(PDB名)を入力して「次へ」をクリックします。
ディレクトリ構成やメモリ構成、キャラクタセットなど詳細に設定したい方は「拡張設定」を選択してください。ただし、使用するサーバーによっては数時間かかることもあるので注意してください。

6.表示される設定に問題ないことを確認します。「終了」をクリックするとインストールが始まります。

7.「閉じる」をクリックして終了します。

5.3. Oracle Netの設定

インストール方法によっては$ORACLE_HOME/network/adminlistener.oratnsnames.oraが存在しないことがあります。そのときには手動で作成するか、netcaで作成してください。参考までにサンプルを紹介します。

listener.oraサンプル

LISTENER =
  (DESCRIPTION_LIST =
    (DESCRIPTION =
      (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = <ホスト名>)(PORT = 1521))
      (ADDRESS = (PROTOCOL = IPC)(KEY = EXTPROC1521))
    )
  )

tnsnames.oraサンプル

PDB1 =
  (DESCRIPTION =
    (ADDRESS_LIST =
      (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = <ホスト名>)(PORT = 1521))
    )
    (CONNECT_DATA =
      (SERVICE_NAME = <pdb名>)
    )
  )

ファイルを作成したらリスナーを起動します。

$ lsnrctl start

LSNRCTL for Linux: Version 23.26.1.0.0 - Production on 16-JUN-2026 04:09:04

Copyright (c) 1991, 2026, Oracle.  All rights reserved.

Starting /u01/app/oracle/product/23.26.0/dbhome_1/bin/tnslsnr: please wait...

TNSLSNR for Linux: Version 23.26.1.0.0 - Production
Log messages written to /u01/app/oracle/diag/tnslsnr/ol9o26ai/listener/alert/log.xml
Listening on: (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=ol9o26ai)(PORT=1521)))

Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=)(PORT=1521))
STATUS of the LISTENER
------------------------
Alias                     LISTENER
Version                   TNSLSNR for Linux: Version 23.26.1.0.0 - Production
Start Date                16-JUN-2026 04:09:04
Uptime                    0 days 0 hr. 0 min. 0 sec
Trace Level               off
Security                  ON: Local OS Authentication
SNMP                      OFF
Listener Log File         /u01/app/oracle/diag/tnslsnr/ol9o26ai/listener/alert/log.xml
Listening Endpoints Summary...
  (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=ol9o26ai)(PORT=1521)))
The listener supports no services
The command completed successfully

6. インストールしたデータベースの確認

一通り設定が終わったので、SQL*Plusを使ってデータベースにアクセスできることを確認します。

  1. SQL*PlusでCDBに接続します。
$ sqlplus sys/<DBCAで設定したパスワード> as sysdba

SQL*Plus: Release 23.26.1.0.0 - Production on Tue Jun 16 04:19:01 2026
Version 23.26.1.0.0

Copyright (c) 1982, 2025, Oracle.  All rights reserved.


Connected to:
Oracle AI Database 26ai Enterprise Edition Release 23.26.1.0.0 - Production
Version 23.26.1.0.0
  1. CDBに接続していること、そして存在するPDBを確認します。
SQL> show con_name

CON_NAME
------------------------------
CDB$ROOT

SQL> show pdbs

    CON_ID CON_NAME                       OPEN MODE  RESTRICTED
---------- ------------------------------ ---------- ----------
         2 PDB$SEED                       READ ONLY  NO
         3 PDB1                           READ WRITE NO
  1. 次はPDBに接続します。なお、すでに接続済みであれば、alter session set container=<PDB名>;でもPDBに接続できます。
$ sqlplus sys@localhost:1521/pdb1 as sysdba

SQL*Plus: Release 23.26.1.0.0 - Production on Tue Jun 16 04:38:15 2026
Version 23.26.1.0.0

Copyright (c) 1982, 2025, Oracle.  All rights reserved.

Enter password:★パスワードを入力します

Connected to:
Oracle AI Database 26ai Enterprise Edition Release 23.26.1.0.0 - Production
Version 23.26.1.0.0

SQL> show con_name

CON_NAME
------------------------------
PDB1

7. おわりに

今回は、最新の「Oracle AI Database 26ai for Linux x86-64」について、Linux OSの事前設定からZIP版を用いたパッケージ展開、そしてOUI・DBCAによるデータベース作成にいたるまで、一連のインストールプロセスを解説しました。

無事にCDBおよびPDBが起動し、SQL*Plusからの接続が確認できれば、いよいよ26aiが誇る強力な機能を試す準備は万端です。

Oracle AI Database 26ai は、従来の Oracle Database と互換性を保ちながら、AI Vector Search や生成AI機能など最新のデータ活用基盤として大きく進化しています。本記事では ZIP 版を用いたインストール手順を紹介しましたが、環境構築の流れは 19c や 21c と大きく変わりません。

ぜひ、皆様もご自身の検証環境で新しいOracle Databaseの世界を触ってみてください。

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Linux KVM (Kernel-based Virtual Machine:カーネルベースの仮想マシン) は、Linuxに組み込まれたオープンソースの仮想化テクノロジーです

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オラクル製品の開発は、Oracle Linux( Unbreakable Enterprise Kernel )に基づいて進められているため、オラクル製品に最適化されたOS環境をご利用いただけます。Kspliceによるゼロダウンタイムパッチを適用することが可能です。