Oracle AI Database 26aiは2025年10月にリリースされました。これまではクラウドだけの提供でしたが、オンプレミス版の「Oracle AI Database 26ai for Linux x86‑64 」が初めて2026年1月にリリースされました。
これまでの「23ai」という名称から「26ai」へとリブランディングされた背景には、単なるパッチ適用以上の、データ管理のあり方を根本から変えるという強い意志が込められています。「AIをデータのある場所に持ってくる」という次世代の設計思想は、私たちの開発・運用をどう変えるのか。本記事では、エンジニアが押さえておくべき主要機能と、バージョン番号に隠された真実を解説します。
- 1. Oracle AI Database 26aiとは
- 2. Oracle AI Database for freeとfreesql.com
- 3. Oracle AI Database 26aiの新機能
- 3.1. 26aiの代表的な新機能
- 3.2. 26aiでサポート終了や非推奨の機能
- 6. おわりに
1. Oracle AI Database 26aiとは
Oracle AI Database 26aiは、最新の長期サポート(LTS:Long Term Support)リリースです。2025年10月にクラウド版がリリースされ、2026年1月にオンプレミス版がリリースされました。名前にAIが入っているように、主にAIや開発者の生産性向上に関する新機能が含まれています。
Oracleに詳しい人の中には、なぜ「Oracle AI Database」なのか、「23aiとの関係は?」など疑問に思うことがあるでしょう。そのあたりから説明します。
Oracle DatabaseからOracle AI Databaseへ
Oracle Database 10g以降 「Oracle Database <バージョン番号>」 という名称でしたが、今回は 「Oracle AI Database <バージョン番号>」 のように製品名称が変更されました。
23ai改め26aiへ
図01を見てください。Oracleはこれまで数年に一度サポート期間の長いLTS(Long Term Support Release / Long Term Release)をリリースしています。一つ前は19cで、現行は23aiです。今回26aiの発表を機に、23aiを26aiにリネームしました。
23aiのアーキテクチャをそのまま継承しており、最新のRelease Update(RU)を適用することで、名称およびバージョンが26aiへとシームレスに更新されます。
図01: Oracle DatabaseのLife Support Policy

このことは、リリース番号を見るとわかりやすいでしょう。図02は現在のOracle Databaseのリリース番号のルールです。23aiも26aiもどちらもMajor Releaseは同じです。
図02: Oracle Databaseのリリース番号

つまり、現在23aiを使用しているかたはRUによるアップデートだけで26aiを使用できます。当然19cはMajor Releaseが異なるため、より多くの移行作業が必要なアップグレードになります。
また、Oracle Database ドキュメントのページを見ると23aiはありません。これは23aiと26aiが同じバージョン(Major Release)だからです。

2. Oracle AI Database for freeとfreesql.com
従来もFree版としてOracle Database Express Edition(Oracle XE)がありましたが、今回もFree版がリリースされています。従来と同じく、CPU数やメモリサイズ、DBサイズなどに制限があります。詳しくはFAQをご覧ください。
- Oracle AI Database Free
https://www.oracle.com/database/free/
また、インストールしないでも手軽に26aiのSQLを試せる環境としてfreesql.comもあります。
- freesql.com
https://freesql.com/landing/
3. Oracle AI Database 26aiの新機能
Oracle AI Database 26aiの新機能を紹介します。なお、26aiは23aiのパッチ適用バージョンなので、「23aiの新機能」と「26aiの新機能」を合わせたものが「26aiの新機能」となります。
まず、Oracle社26aiのプレスリリースの冒頭文を紹介します。
オラクルは本日、AIをデータ管理の中核に組み込んだ「Oracle AI Database 26ai」を発表しました。これにより、「あらゆる場所のすべてのデータにAIをもたらす」というオラクルのコミットメントをさらに推進します。「Oracle AI Database 26ai」は、AIをデータおよび開発スタック全体で活用できる次世代AIネイティブ・データベースであり、オラクルの「AI for Data(データにAIを)」というビジョンをさらに強化するもので、AIベクトル検索や、データベース管理、データ開発、アプリケーション開発、分析におけるAI活用を可能にします。お客様は、自社のプライベートデータと一般情報を組み合わせて高度な回答やアクションを提供する、ダイナミックなエージェント型AIワークフローを実行できるようになります。
26aiの最大の特徴は、データベースそのものにAI機能を内蔵し、「データをAIに送るのではなく、AIをデータのある場所に持ってくる」というアプローチを徹底している点にあります。
特に既存ユーザーの中には、AIは使わないから関係ないと思っているかたもいるかもしれません。しかし、AI以外にも多くの機能強化が施されているので新機能をチェックすべきでしょう。
新機能を簡単に知りたい方は以下の資料をお勧めします。
新機能を詳しく知りたい方は次のマニュアルをお勧めします。また、既存ユーザーにとっては廃止や非推奨になる機能も重要です。インストール前にはリリースノートに目を通すことも重要です。
- 「Oracle AI Database新機能 リリース26ai」
- 「Oracle AI Databaseデータベース・アップグレード・ガイド26ai」-「10 Oracle Databaseの変更、サポート終了および非推奨」
- 「データベース・リリース・ノート 26ai」
3.1. 26aiの代表的な新機能
新機能の中から代表的なものを紹介します。
1. AI Vector Search(ベクトル検索)
26aiの目玉機能であり、生成AI(LLM)と社内データを組み合わせる RAG(検索拡張生成)を、SQLだけで完結させることができます。
SQLによるセマンティック検索:
ベクトル検索とは、非構造化データに対するセマンティック検索を可能にする技術です。なお、セマンティック検索とはAIと自然言語処理を用いてその背後にあるユーザーの意図や文脈を理解し、関連性の高い検索結果を返す技術のことです。そのため「おいしいイタリアン」といった曖昧な意味(セマンティクス)での検索が、従来のSQLで行えます。
2. 生成AIとの統合(Select AI / AI Agent)
データベース内部から外部のLLM(OCI Generative AI、OpenAI、Azure OpenAI等)を呼び出すフレームワークが強化されました。
Select AI Agent: 自然言語での問いかけをSQLに変換して実行し、その結果を自然言語で回答するエージェントをデータベース内で構築できます。
3. 開発者体験の向上
開発効率を劇的に高める「JSONとリレーショナルの融合」がさらに進化しています。
JSONリレーショナル二面性(JSON Relational Duality): 同じデータに対して、あるときは「JSONドキュメント」として、あるときは「リレーショナルテーブル」として、ロックや不整合を気にせず同時にアクセスできます。
マイクロサービスサポート: 従来のシャードキューから進化したトランザクション・イベント・キュー(TxEventQ)はKafkaに対応しただけでなく数多くの機能強化が施されています。
ロックフリー予約(Lock-free Reservation): 在庫数や口座残高などの数値更新において、行ロックをかけずに加減算をでき、高い同時実行性を実現します。
SQLでの操作プロパティ・グラフ: プロパティ・グラフのデータ構造およびグラフ問合せがネイティブでサポートされるようになりました。
4. パフォーマンス
ミッションクリティカルな業務を支える、高速化機能が追加されました。
True Cache: アプリケーションの近くにデータをキャッシュする読み取り専用のインメモリ・キャッシュ機能。DB本体の負荷を下げつつ応答速度を極限まで高めます。
5. セキュリティ
SQL Firewall: データベースに内蔵されたファイアウォール。許可されていないSQL実行やインジェクション攻撃をリアルタイムで検知・遮断します。
3.2. 26aiでサポート終了や非推奨の機能
26aiでサポート終了もしくは非推奨となる機能は数多くあります。詳細は「Oracle AI Databaseデータベース・アップグレード・ガイド26ai」-「10 Oracle Databaseの変更、サポート終了および非推奨」
をご覧いただくとして、代表的なものを紹介します。
CDB構成の必須化: 従来の非CDB(Non-CDB)構成は完全に廃止され、マルチテナント・アーキテクチャが必須となりました。
BIGFILE表領域のデフォルト化: SYSTEMやSYSAUX、USER表領域がデフォルトでBIGFILE表領域になりました。
Oracle Enterprise Manager Database Expressのサポート終了: EM Expressのサポートが終了しました。今後はOracle Enterprise ManagerやOracle SQL Developerを使用します。
6. おわりに
今回紹介した新機能はほんの一部です。詳細はOracle DatabaseのマニュアルやSpeaker Deckをご覧ください。
Oracle AI Database 26aiは、単に生成AIブームに乗った製品ではありません。ベクトル検索やSelect AIといったAI機能の統合はもちろん、JSON Relational DualityやTrue Cacheなど、現代のアプリケーション開発に求められる「スピード」と「柔軟性」を高い次元で両立させたLTSリリースです。
特に近年のマイクロサービスに対応した機能拡張が数多く搭載されています。
従来の「最新バージョンは安定するまで待つ」という考え方もありますが、26aiは実質的に23aiの成熟版であり、19cからの移行先として最も有力な選択肢です。AIを使わないシステムであっても、そのパフォーマンスと開発効率の恩恵を享受するために、今こそキャッチアップを始めるべきときだと言えるでしょう。
